「フォニックスって何歳から始めればいいの?」
「アルファベットは読めるけど単語はまだ…フォニックスはまだ早い?」
そんな疑問を感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、英語の音と綴りを結びつけるフォニックスの基本と、自宅でできる毎日の練習法、そして迷わず進められる12週間の学習ロードマップまで、わかりやすくご紹介します。
特別な教材は不要。おうちにある鏡とペン、付箋だけで今日から始められます。

フォニックスとは?
フォニックスは、「c-a-t の音を順につなぐと cat になる」といった英語の音と文字の規則を体系的に学ぶ方法です。
暗記型の単語帳とは異なり、耳で音を聞き、口で発音し、目で綴りを確認し、手で書くという一連の感覚を育てていきます。
つまり、「英語の読み書きの基礎体力」をつけるトレーニング。
音から学ぶからこそ、英語が自然に読めるようになるステップにつながります。
何歳から始める?年齢より大事な「サイン」
始める目安は「年中〜小1(4〜6歳)」ですが、年齢よりも以下のような「準備サイン」の方が重要です。
- 英語の歌やチャンツ*を楽しめる(*チャンツ=リズムに合わせて英語の発音やイントネーションを身につける方法)
- 3つの音を続けて発音できる(例:/m/–/a/–/p/)
- 鏡を見ながら舌や唇の形を真似できる
これらができていればスタートのタイミング。
まだ難しければ、英語の音あそびやリズム遊びから始めて、1〜2週間で自然にフォニックスに移行できます。
毎日10分でできる!家庭用フォニックスルーティン
特別な教材は不要。家庭でのフォニックスは、「毎日同じ型で回す」ことが成功のカギです。
タイマーを10分にセットして、次の流れを習慣化しましょう。
- 音あそび(2分):鏡を見ながら、その日の音(/s/, /ʃ/ など)を発音。口の形を言語化すると定着しやすくなります
- ブレンディング(5分):CVC語(子音–母音–子音の順で構成される3文字の英単語)を声に出して読む練習。例:c–a–t → cat
- 一言ライティング(2分):その日の語を声に出して1回だけ書く。発音と綴りの往復がポイント
- ごほうび宣言(1分):今日できたことを「〇〇が言えた/読めた」と言葉にする。モチベーションが続きます
冷蔵庫などに付箋で「今日の音」を書いて貼っておくと、家族みんなで意識できておすすめです。
フォニックス学習ロードマップ|全4フェーズ・12週間で「自力読み」へ
フェーズ1(1〜3週)|CVC語で「読めた!」を積み上げる
まずは短母音(/æ ɛ ɪ ɒ ʌ/)と基本子音を使って、短くシンプルな語を自力で読む練習から。
例:cat, pen, dog, sit, sun など。
2日目以降は前日の語を軽く復習し、新しい語を1〜2語追加する程度でOK。
文で読むときは、「I can ___」「This is a ___」のような決まった型の短文に入れると、早い段階で「読めた!」が実感できます。
フェーズ2(4〜6週)|二文字一音&音の聞き分け力を育てる
sh, ch, th, ng などのダイグラフ、ai/ay, ee/ea など母音のペアに進みます。
この時期は、「ship と sheep」などの最小対立語(1つだけ音が異なる2つの単語)で耳を鍛えるのがおすすめ。
/ʃ/ と /s/ の口の違いを鏡で確認しながら練習すると、聞き分けと発音の両方に効果があります。
フェーズ3(7〜9週)|綴りのパターンと長母音を理解する
マジックe(a_e, i_e など)や、同じ音でも綴りが違う語(ai/ay, ee/eaなど)を比較。
例:「同じ音でも語末は ay が多い」「a_e は子音が間に入る」など、ざっくりとした法則を確認するだけでOK。
例外が出てきたら、「ここだけは音で読まずに『かたまり』で覚えようね」と伝えましょう。
フェーズ4(10〜12週)|Tricky Wordsと音読の流暢さアップ
このフェーズでは、the, was, said, are, you などフォニックスのルールでは読みにくい語を扱います。
ここでは「暗記」もOKです。意味を含んだ短文の中で何度も出会わせて覚えていくのが効果的です。
毎日1本、20〜40語の短文を止まらずに音読することを目標にして、「昨日よりも上手に読めた!」という小さな達成感を積み上げていきましょう。
よくあるつまずきと対処法
- ブレンディングが難しいとき:子音を伸ばさない練習からやり直します。/ssss–æ–t/ のように引き延ばすと合流点がぼやけるため、/s/–/æ/–/t/ と短く区切って最後にスッとつなぐ感覚を身体で覚えます
- 母音の混乱:口の開きを優先して整理します。/æ/ は口を横に開く、/ʌ/ は力を抜いて軽く下げる、/ɒ/ は丸める――と鏡の前で“形”から入ると切り替えが早くなります
- 書くのを嫌がるとき:1語1回だけ、声に出しながら書いて終わりにしましょう。量より音⇄綴りの往復を毎日回すことが定着の近道です
最低限そろえたい道具とコツ
- 鏡(口の形を確認)
- 付箋(学んだ音を見えるところに貼る)
- ペン(書いて発音と綴りを結ぶ)
特別な教材は必要なく、鏡・付箋・ペンの3つで十分です。
付箋には今日の音と例の語(例:/æ/ – cat, jam)を書き、目につく場所に貼っておきます。
夕食の前後に家族で一度だけ読んでみる――そんなちょっとした習慣をつくるだけで、学習は生活に溶け込みます。
音読素材は、市販絵本や学校の英語テキストでも構いません。
大切なのは、その週に扱う音が多めに含まれる短文を選ぶこと。
迷ったら、親が2行の即席ミニ文を作って読み上げ、子があとに続くだけでもOKです。
フォニックス家庭学習に使えるおすすめ教材
Oxford Phonics World 1–5(OUP)
- 対象:年中〜小学校低学年/初学者
- 内容:まず1冊選びたいときはこの教材がおすすめです。
母音・子音→ブレンディング→長母音・ダイグラフまで段階的に網羅され、基礎を体系的に習得できます。
音声教材の利用のほか、学習者向けウェブサイトで動画視聴も可能です - おすすめポイント:1ユニット約10〜15分の小刻み設計で、「毎日10分ルーティン」に最適。
音源が豊富で、発音→読みの流れがスムーズ - 使い方:①音声を真似→②CVC語を声に出して読む→③1語だけ書く→④付属の小課題で終了。
週5日×12週で「読める語」体感が積み上がります
Jolly Phonics Pupil Book 1–3 + Jolly Songs
- 対象:年少後半〜小1/音あそびが好きな子
- 内容:音を体で覚えて定着を図りたいならこれがおすすめ。
動作(アクション)×歌(Jolly Songs)×書きの「多感覚」を使ったアプローチができます。
シンセティックフォニックスの代表格です - おすすめポイント:口や舌の形を体で覚える→音が安定→ブレンディングが速い。
文字の書き順も併せて身につくので学校英語との親和性が高い - 使い方:1音=「歌→アクション→口の形→読んで書く」で5〜7分。
3音そろったらCVCのブレンディングへ
Oxford Reading Tree: Floppy’s Phonics / Decode & Develop
- 対象:年長〜小3/「読書量」を増やしたい
- 内容:「自力読み」を増やす実践におすすめの教材。
フォニックス段階に合った「デコーダブル」絵本(学んだフォニックス規則だけで自力で読めるように設計された本)で、扱う音の範囲が明示され学んだ規則だけで読めるので、無理なく自力読みができ成功体験を積めます
*Floppy’s Phonicsはフロッピーの音声法カリキュラムに完全準拠の「自力読み」本で「発音規則→ブレンディング」の学習用、Decode and Developは習った規則で実際に読む量を増やすための読本ラインです - おすすめポイント:キャラクター物語で読みのモチベーションが上がる。
巻末に扱った音や単語リストがあり復習がラク - 使い方:平日はフォニックス教材、金曜はOxford Rading Treeで「読めた」を楽しむ日に
Q&A|保護者のよくある質問
Q1. フォニックスだけで読めるようになりますか?
A1. ベースは作れますが、語彙や理解力を広げる読書・会話と並行がベストです。
読みがうまくいき始めたら、語彙・背景知識・理解を広げる読書や会話と並走させましょう。
ベースの上に「意味」を重ねるほど、読みは速く正確になります
Q2. 日本語(ひらがなやカタカナ)と混ざって混乱しませんか?
A2. 最初は「英語は口の形から入る言語」として、鏡で発音のフォームを確認する癖をつけると切替がスムーズです。日本語の読み書きと一緒に勉強させず、時間帯を分けるのも効果的です
Q3. 例外語(Tricky Words)はいつから?どう覚える?
A3. フェーズ2〜3のどこかで少しずつ始めましょう。単語単体で暗記するより、よく使う短文の中で繰り返し出会わせて覚えるのがコツです。読める部分は音で処理し、読めない部分だけ「かたまり」で覚えさせます
Q4. 忙しくて毎日は難しいです…
A4. 月〜木は10分、金は「読書会」、週末はお休みなど、無理のない範囲でOK。
大切なのは総量よりも反復のリズム。
3日空くより、短くても毎日の方が効果的です
まとめ|1日10分、「できた!」の積み重ねが一番の近道
フォニックス学習で大切なのは、正しい順番で、毎日少しずつ回すこと。
1日10分、決まった手順で、声に出しながら進めていけば、自然に「読める語」が増えていきます。
子どもが「できた!読めた!」を毎日実感できる環境を作ることこそ、最短で最良の学びの土台です。





